小物屋の本棚(11)
「風が吹くとき」
レイモンド・ブリッグズ・作 小林忠夫・訳 篠崎書林・刊
幸せな雪だるまを描いているブリッグズが原爆を描きました。
いつも犠牲になるのは国民。
国のリーダー達の欲望のために。
「地下鉄」
ジミー・作・絵 宝迫典子・訳 小学館・刊
天使に「さよなら」と言われて眼がみえなくなった女の子が、新しい世界に出逢えるお話。
音と感覚のスバラシイ世界を発見。
ときがわで生まれた絵本・「都幾川渓谷鉄道」
ピリリリリリ・・・
シュッパーッ 進行ォー!
動き出した。
都幾川をさかのぼる憧れの鉄道に いささか興奮ぎみだ。
JR八高線の明覚という駅を出て すぐにポイントを右に切れ、まばらな集落のなかを、ゆっくりと山に向かう。
車内は行楽客とおぼしきグループと地元の年寄りが数人、なにやら声高に話しているが、今のわたしには さほど気にならない。窓から吹き込む風が あまりにも気持ち良いせいだろう。
山裾が急に近く見えたかと思うと、ほどなく最初の停車場「三波渓谷駅」に到着した。
乗客はわたしを含めて ほとんどがここで降り、小さな釣り橋を渡って対岸の温泉に行くようだ。
それにしても なんともレトロな、というより懐かしい木造駅舎だろうか。「ポッポ屋」という映画に出てきた駅舎そのままの風情があり、駅弁も高倉健のような駅員が売っているのだろうか。
この先、「蛍」という駅からは勾配がきつくなるため、アプト式のレールを使い天文台まで行き、そこで台車を切り離し、飛行船で吊って空へ向かうという。 夢の中の鉄道。
次回は
「絵本 火垂るの墓」
(野坂昭如・作 田村隆一・詩 近藤喜文 百瀬義行・絵 新潮社・刊)
「あげる」
(シャーリー・ヒューズ・作・絵 ほしかわなつこ・訳 童話館出版・刊)
のご紹介を予定しています。
《とき川の小物屋さん:090-1537-2144》